貝の話
2017.07.29 Saturday 12:35

 

 

沖縄が日本に復帰して間もなくの頃、本島や島々をリュックを担いで旅をした。

期間はおおよそ、働きながら一年半、

そんな旅先で、一番ながく居た石垣島、その商店街の店先に無造作に置かれた焼物の壺。

 

それは素焼きの様な無釉でよく言えば素朴で民芸そのもの、例えば「お歯黒壺」や「種壺」のような生活のために使われた道具のような焼き物であった。

 

当時、それが不思議に思えたのは、その壺の素地のなかに白い貝殻が無数に混ざっていたことだ。

 

後日、それは「粘りのない粘土に貝そのものを混ぜて粘度を増すようにした」と言った、余りにも法外なロジックを耳にしたように思う。しかし、その話が耳に残っているが故に、あれがどうして混ぜられたのか今でもぼくの頭の中にある「不思議の小箱」に収まっているのだ。

 

「藤澤くん、貝の焼いたのがあるけど使うか?」金沢の陶芸家のHさんに、まぁ、簡単に言えば「胡粉」のようなもので、「童仙坊とアルミナとその貝を混ぜて高台に目立てしたら緋色が出る」と言われ、やってみる。

 

これがなかなか良かった。

緋色もそうだけど、何しろパサパサだから器から外しやすい。

そんな遊びのような仕事をしていたところ、アルミナの在庫がなくなった。

 

うちは、まぁ「清貧」を生きてるので、それなりの工夫と言うか、「覚悟」みたいなのがあって、ある日そのアルミナ抜きでやって見た。

 

その結果は驚くべきもので、焼きあがったそれはそんじょそこらの岩よりも硬いものになった。勿論、作った器はすべてダメ....

 

このとき、ふと、昔、あの、若かった時、そう、あの旅先で見た「壺」を思い出した。

 

そのツボを「パナリ焼」と言う。

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